水産物流通情報誌― 全水卸 VOL.400試し読み
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[羅臼の水産業]知床峠◇羅臼町の概要羅臼町は北海道の東北端、知床半島の東側に位置し、半島先端部から羅臼岳にかけては知床国立公園区域に指定されている自然豊かな地域です。町域の約 95%を森林が占めており、平坦地は海岸線を除きわずかに各河川流域にあるだけです。また、東樺太海流の南下とともに沿岸部で結氷が見られ、1月中旬から4月上旬まで周辺海域は流氷で覆われます。羅臼は通年多種の魚介類が水揚げされる世界有数の魚場ですが、海産物の美味しさの秘密の一つは雄大な自然環境にあります。シベリアの大河「アムール川」からたどりつく流氷が運んでくる大量の植物性プランクトン、知床の山々から流れる栄養豊富な雪解け水に含まれるミネラル、そして、それらを循環させる野生動物たちの自然の営みが羅臼の海に恵みをもたらします。オホーツク海は北半球における流氷の南限であり、その恵まれた地形により羅臼には流氷が止まることなく流れてくるため1月から3月の厳冬期も含め一年中漁を行うことが出来ます。また、羅臼沖の根室海峡は最深部で2,400メートルと水深に大きな差があることから多種多様の魚が集まります。ここで水揚げされる魚は多種多様で、羅臼の3大魚と言われる秋サケやスケトウダラ、ホッケのほかイカやエゾバフンウニや羅臼コンブも有名です。さらに、南下時期(10~11月)に羅臼沖で漁獲されるブリは平成25年以降漁獲量が増大しており、ブランド化の推進効果も相まって道内外に出荷され、高緯度帯で栄養を蓄えたことで脂質分が高く美味しいと高い評価を得ています。[“ラオウ”参上]羅臼で水揚げされる秋鮭は、がっしりと肉厚で脂のりがよく「北海道羅臼ブランド」として高い人気を誇っています。中でも「知床羅臼銀毛鮭『羅皇』」と名付けられている自慢のブランド鮭は、水揚げ時にオス・メス別や魚体サイズなどを細かく仕分けられ、目利きの漁師がより厳選した4キロ以上のオスの銀毛鮭の中から、さらに年間2000本前後しか認定されない貴重な限定秋鮭です。羅皇に認定された秋鮭には1尾ずつタグがつけられ、深層水を使った鮮度管理など徹底した品質・衛生管理をされており、鮭のランクで最高級を誇っています。まさに『ラオウ』参上です。[知床旅情♪]加藤登紀子のヒット曲『知床旅情』は、俳優の森繁久彌が1960年に映画『地の涯に生きるもの』の撮影のため長期滞在した知床半島の羅臼村(現・羅臼町)を離れる際、地元の人々に万感の思いを込めて贈った『さらば羅臼よ』がルーツとのこと。この映画は前年4月に羅臼の漁船50隻が嵐に巻き込まれ90人近い人が亡くなったことを題材に動物作家の戸川幸夫が書いた『オホーツク老人』を森繁さんが映画化したもの、残念ながら映画はあまりヒットしなかったようですが、名曲はいつまでも歌い継がれます。羅臼町は、知床半島の脊梁山脈にあたる知床連山で、隣接する斜里町と二分されています。羅臼町は、その知床半島の南東側に位置し、目の前に広がる根室海峡の向こうには、北方領土の国後島が、 羅臼町とほぼ平行に対峙しています。羅臼町の面積は397.72平方㎞、南北に約60㎞、東西に約8㎞、根室海峡をはさんで国後島までは、近い所で25㎞しか離れていません。隣接する町は斜里町の他に標津町があります。 (羅臼地方市場の全景)(市場内の取り引き風景)(秋鮭の水揚げ)(羅臼町HPより)羅臼国後展望塔北方領土・国後島知床ネイチャークルーズ138羅臼地方卸売市場(北海道目梨郡羅臼町)市場のある都市市場のある都市

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